2012年1月2日月曜日

ゴッホがリーダーかどうか

CLS Japan本部 網あづさ

あるグループでこのような投げかけがありました。

わたしは博士論文で「事を起こす人」は「社会的資産」であるという趣旨のことを書きました。事を起こす人は、(自分にも)他人にも影響を与えるということで、社会活動に価値をもたらすととらえたからです。

この場合の「影響」は、そのまま「行動」への影響もあるし、深く「心」に響く影響もあると考えました。たとえば組織活動のプラットフォームとして、よくいわれる投資家、経営者、管理者、メンバーは、もちろん、顧客やファンも含まれているとしました。しかし、理論的には、「顧客やファンを含む」というところで、「新しい視点だし、現代理論へのチャレンジだ」と言われ、少々びびりました。

直接的・具体的なリーダー行動をうけていないのに、ひそかに「心」で影響をうけた顧客やファンが、その組織に愛着を感じ、自分自身は購入しなくても、「こんなおもしろい組織があるよ」と誰かに伝えたり、どこかに書いたりしたら、十分にリーダーシップを受けたフォロワーだと思ったのです。その結果、その組織のファンはもっと増え、ファン層があつくなればなるほど、購入客も増えやすいと。。。

ゴッホが、どういう意図や目標で作品を創ったかわからないですが、自分一人だけで楽しむために創ったのでなければ、なにか他人への目標があったと思います。たとえば、「ゴッホの世界」を感じてもらいたい。。。これも目標になると思います。

通常のリーダーシップ論においても、「ゴッホの世界」を感じた人がいれば、目標達成、リーダーシップ発揮となります。その上で、「ゴッホの世界」を感じた人たちが、ゴッホの良さを他人に伝えたり、もっとゴッホのことを知ろうとしたり、こういった活動が増えれば、「ゴッホの世界」は大きくなると思います。死んでからもリーダーシップを発揮している(影響を与えている)ことになります。



これは今のソーシャル・リーダーシップに強くつながる考え方だと思います。昔のように、意図したことがそのままフォロワーの行動に伝わることの方が少なく、種をまく程度のリーダーシップで、後はフォロワーが渦を作っていくような。