2019年1月27日日曜日

進化する教科書プロジェクトも状況対応リーダーシップ®で!

CLS Japan本部 網あづさ

進化する教科書プロジェクトで制作した「12のリーダーシップストーリー」、これも状況対応リーダーシップ®が大活躍でした。
著者チーム11名、編集その他のサポート5名、全員の力をあわせて作りました。


 12のリーダーシップストーリー


進化する教科書を創ろう!と言い出し活動を始めた人がリーダー。
最初はメンバー募集から。
同じような興味を持っている仲間に声掛け。
その仲間がまた同じような興味を持っている仲間に声掛け。
そうして集まったメンバーたちでミーティング開始。

何回かのミーティングのなかで新しいメンバーが入ったり、やめていったり。
ミーティングでは、多様なメンバーのさまざまな意見が出て、意見交換、情報共有程度で終了。
どんな内容でどんな方向に行くんだろう・・・と手探り状態。
チームレディネスで考えると低レディネス。

メンバーは皆働いていたり、通学していたりで、せいぜい月一回くらいのミーティング。
グループウエアなども活用しながら、だんだん「こんな内容でこうやっていこう」というイメージが湧いてきました。
チームレディネスが少し上がってきました。

そのイメージで各自作業を分担。
できあがったものをまとめる作業。
「もっとこうしたら?」などさらなるアイディや意見の共有。
方向性が見えてきて、メンバーたちがそれぞれ自律的に活動を始め、チームレディネスが自律的に。

何度かの推敲で完成。

チームレディネスの変遷がよく見えます。
そのときそのとき必要だったリーダーシップは、状況対応リーダーシップ®で判断します。

チームの状況対応リーダーシップ®とは・・・


2017年5月10日水曜日

変化を難しく考えない!

CLS Japan本部 網あづさ

変化ってすごい?

長らく経営学の領域にいて、「変化」は、成長のためにやらなければならないこと、すごいこと、リーダーなら絶対に必要なこと。。。と教わってきました。

でも、日常にそんなにストレスを感じていなければ、「なぜわざわざ。。。」と思います。変化を起こすには、精神的にも身体的にも荷重がかかります、疲れます。

そんなにがんばらなくても、もうちょっと普通に変化をとらえられないかなと思います。
状況対応リーダーシップ®は、人的資源の活用をシンプルにとらえ、シンプルに実行する方法を教えてくれます。変化についても同様です。


必要に迫られている変化

「社会には数多くの大小のチームや組織があります。好んでリーダーの役割を引き受けている人もいれば、必要に迫られてリーダーの役割を担っている人もいます。好むと好まざるとにかかわらず、リーダーの役割を果たすとなれば、「変化を起こす」必要があります」、なるほど。

リーダーシップ研究の著名な学者ウォレン・ベニスは、「リーダーは変化を好まなければならない(p.377, Warren Bennis)」といいます。好んでリーダーになる人はおそらく積極的に変化を起こすでしょう。

変化を好んでいる人は積極的に変化をリードする役割をひきうけるのがいいと思います。どんな試練があっても、目的意識があるので頑張り抜けると思います。なにかしたいと強く思えば、どんな試練も乗り越えようという強い意欲が湧きます。

しかし・・・
組織に所属する人は、ちょっとしたリーダーの役割はそんなにいやではない、でも、上から、あるいは状況に迫られて「変化を起こさなければならない」とプレッシャーをかけられると、まず先に「あー面倒」と感じてしまうのではないでしょうか?

変化を起こすための労力、手間、時間、ストレス、いろいろなものが思い浮かびます。
「できればやりたくない」
「でも、やらなければならないことは理解できる」
「あまり外部からやれやれ言われるのは、やる気がなくなる」
「自分なりのペースでやらせてよ」
そんな気持ちかもしれません。

そこで、もし他人や環境から「変化を迫られている」とプレッシャーを感じている人、自分の状況を捉え直してみるのはどうでしょうか?
  • 環境にいる自分
  • 自分の周りに環境がある
自分はどっちにいるととらえていますか?
  • 環境にいる自分、環境からプレッシャーを受けている受け身の自分。
  • 自分の周りに環境がある、自分で環境をコントロールする。

変化に対する不安の研究

変化は、現状を捨てて新しい行動に移行するので、不安がつきまとうと言われます(p. 398、クルト・レビン、Kurt Lewin)。変化に対する不安には2つの危惧があるという研究がありますが(p.401エドガー・H・シャイン、Edgar H. Schein)、この研究では、「変化しないことへの不安」を大きくして「変化することへの不安」を相対的に小さくすれば、人は「変化すること」を選ぶとしています。
「変化は面倒という不安(危惧1)」<「何もしないことへの不安(危惧2)」

変化への不安
危惧1:
変化することへの不安
新しいものは難しく面倒という不安
危惧2:
変化しないことへの不安
失敗するかもしれないと思い何もしないことへの不安
出所:「入門から応用へ、行動科学の展開」p. 402

この考え方はわかりやすいです。
だれにとっても「変化は面倒」です。
現状がそこそこOKなら変化を起こす必要はないです。

しかし、もし問題があれば、問題に気づいていれば、「変化を起こさずになにもしないことへの不安」は生まれてきます。なにもしなければ問題はどんどん大きくなるからです。

もし問題があっても、問題になんとなく気づいていても、問題に気づきたくない、問題に気づかないようにしていたい、という場合、どうでしょうか。
この場合は、おそらく「変化は面倒」の方が「何もしないことへの不安」に勝つでしょう。その結果、「見て見ぬふり」、「問題の先送り」になっていきます。

よく「思考停止」という表現を聞きますが、問題に気づきたくない、問題に気づかないようにしていたい場合、この思考停止になると思います。世の中でコーチングや気づきが流行っていますが、これは「気づきたくない、気づかないようにしていること」に「気づかせる」作業だと思います。

気づいているのに気づかないようにして問題状況のなかにずっといると、人はだんだん違和感が増し、社会不適応を感じ、体調不良になり。。。心身ともに病気になるのではないかと思います。

変化を重たいものではなく、自分にもできる身の丈にあった楽しいことととらえるようにすれば、目の前の問題にひとつひとつ対処できるのではないでしょうか。


変化に対する動機づけ

環境要因と動機づけ要因、有名なハーツバーグの研究があります。
  • 環境要因:環境的・物理的な要因は、不満か不満じゃないかを決める。
  • 動機づけ要因:気持ちに訴える内的要因は、満足か満足じゃないかと決める。
うるさい、暑い、ものが足りない、給料が低いなど物理的・環境的な要因は、たとえ環境をよくしたとしても、動機づけされることはなく、「不満を解消」するだけ。
いきがい、やりがいがある、喜ばれた、人のためになる、達成感がある、など気持ちに訴える内的要因の場合は、満足感を得られる。


変化を状況対応リーダーシップ®で実行する

状況対応リーダーシップ®で変化を実行するということは、つまり、変化を実行する対象の「変化に対する」レディネスを変化させることです。

レディネスはだれにでもあります。
  • 自分
  • 相手
  • チーム
  • 組織
  • 社会
  • 世界
  • ・・・・・・・・・
変化を実行する対象として、身近な自分や自分の周りにいる相手、自分の仲間たちチーム、もし組織を率いているなら組織、自分が存在する社会、世界。。。いろいろあります。

レディネスは、いつでもどこでも環境の変化や気持ちの変化で、高まったり低くなったりします。強烈なショックを受けたりすると、今までできていたことが、突然できなくなることもあります。

自分、相手、チーム、組織、それぞれの変化へのレディネスを見ながら、対象の内的要因はどうなっているのか、行動科学と状況対応リーダーシップ®ではそのように考えるのが第一歩になります。

変化させるための内的要因を探る方法として、フォースフィールド分析があります。

また、対象を自分にし、自分を変化させる、そのための行動科学・状況対応リーダーシップ®を活用する方法として、S.L.セルフ®があります。


参考文献 
  • 「入門から応用へ 行動科学の展開」ハーシィ、ジョンソン、ブランチャード著、山本成二・山本あづさ共訳、生産性出版、2000 
  • 「行動科学入門」株式会社シーエルエス編著、山本成二監修、生産性出版、2005 

2016年3月22日火曜日

リーダーシップの効果性とは?

CLS Japan本部 網あづさ


リーダーシップの原則をまずはおさえておきたいと思います。

これまでのリーダーシップ研究といえば、多くの場合、経営学の一部として研究されてきました。リーダーシップ研究のレベルは、大きく分けて次の3つがあります。
  • フォロアーのパフォーマンスを上げるリーダーシップ
  • チームのパフォーマンスを上げるリーダーシップ
  • 組織のパフォーマンスを上げるリーダーシップ
順に個人レベル、チームレベル、組織レベルのリーダーシップになります。

リーダーシップに関わる限り、どのレベルでも、
  • 計画や意思決定を行う側面(意思決定の側面)と
  • 影響を及ぼす人間の側面(人間の側面)
があります。

たとえば、
  • 組織レベルなら経営目標やビジネスアイディアなどの意思決定の側面、環境や文化や価値観などの人間の側面、
  • チームレベルならチーム目標という意思決定の側面、チーム活動やメンバーという人間の側面、
  • 個人ならタスクや業務などの意思決定の側面、担当者や遂行という人間の側面があります。
リーダーシップの「意思決定の側面」と「人間の側面」
意思決定の側面
タスク
目標
使命・アイディア
人間の側面
個人
チーム
組織
個人と組織の問題は、個人目標か組織目標か、人間が先か組織が先か、などの問いで語られ、「人は組織の歯車ではない」などの不満で言い表されたりします。ここでは組織やチームのリーダーシップを考える前に、組織やチームを構成する人間のリーダーシップに焦点をあてて考えたいと思います。
  • リーダーシップの原点はなにか?
  • フォロアーの欲求とは?
  • フォロアーを動機づけるとは?
  • フォロアーのパフォーマンスをあげるとは?
  • リーダーシップの効果性をあげるとは? 
経営の中のリーダーシップ研究の問題意識は、動機づけやリーダー行動研究を含め、ヒューマンリソースやビジョンや変革、組織文化、競争戦略など多岐にわたりますが、リーダーシップの原点に経つと、対象がなんであれ「いかに効果的な結果を出すのか」の1点に絞られると思います。

そこで、リーダーシップの視点を「効果性」に置き、これまでのさまざまな行動科学研究を整理してみたいと思います。

なぜリーダーシップか

なぜリーダーシップが語られるのか、第一にこの点からスタートしてみたいと思います。リーダーシップがなければどうなるのか。

たとえば、ただそこにあるだけ、動きがない「点」の集合を想像してみましょう。また、ある方向に向かって動いているベクトル(矢印)の集合を想像してください。

動きがない点
点の集合」は、動きがなく、あるがまま、ひとつひとつの点の間に関係が生じていない状態です。この状態から想像できるのは方向性や変化がない状態です。

動いているベクトル


動いているベクトルは、方向性がバラバラだったり、いくつかは同じ方向を向いていたりしますが、方向性があり動きがあります。動きがあるということは変化もあるということです。また矢印と矢印がぶつかったり、交差したり重なったりすることもあり、それぞれの間に関係が生じます。関係が生じるということは、お互いの動きを促進させたり抑止したりすることもあるということです。

人間は呼吸し、ものを食べ、動き、年を重ねて生きています。どんなに社会活動が少なくても、他人との関わりのなかでお互いに影響を与えたり受けたりしながら変化しています。その意味で、点ではなくベクトルの存在だととらえられます。人間は自分自身の個人活動、仲間との集団活動、あるいは大きな組織のなかでの組織活動、いろいろな場面で活動しており、個人としての側面、集団や組織の一部としての側面を同時にもっています。

複数のベクトルが、バラバラな方向を向いているのではなく、ひとつの方向を向いている状態を想像してください。バラバラなベクトルの集まりは、お互いの力を相殺してしまい、全体として動きを弱めてしまいます。ほとんどのベクトルが同じ方向を向いていれば、その方向に大きく動きます。

同じ方向を向いているベクトル



リーダーシップがある状態とは、ベクトルの動きが同じような方向に向いている状態です。リーダーシップがうまくいっている状態、つまり、効果的なリーダーシップがある状態とは、より多くのベクトルがひとつになって同じ方向に動いている状態です。

ひとつになっている太いベクトル


ベクトルのひとつひとつを同じ方向に向かせ、そのエネルギーをひとつにまとめることが、効果的なリーダーシップである、これは容易に想像できます。

このベクトルの状態を頭において、実際のリーダーシップで考えてみたいと思います。リーダーシップの考え方では、ある方向に進むと決めた人がリーダーであり、方向が目標、進ませるプロセス全体がリーダーシップと言われています。

最初の問い、「リーダーシップがなければどうなるのか」、おそらく最初の「動きがない点」の集合のままだと思います。

だれも「あそこに行こう!」という方向(目標)を示さない状態では、動かない点は動かないままです。まずは、行きたい「あそこ」を見つける必要があります。

だれかが行きたい「あそこ」を見つけたとします。でも、「いいね!」と言って一緒に行こうとする仲間がいなければ、ベクトルはあちこち向いたままで、細いひとつのベクトルが力弱く動いているだけです。仲間に「いいね!」と感じてもらうなにかが必要です。

「いいね!」という仲間が増えて、みんなが同じ方向を向いてきたとします。でも、ひとりひとりが全体を見ずに自分ができることだけをがむしゃらにやっているとしたら、なかなかひとつの大きな力としてまとまりません。全員の力をひとつにまとめる「働き」が必要です。

そして、力を結集した全員がその力を持続させることが、目標達成につながります。

動かない点のひとつひとつをまとめ、大きなエネルギーとして目標を達成すること、これこそ効果的なリーダーシップの働きになります。

リーダーシップの効果性のカギは・・・
  • 行きたい「あそこ」を見つけること
  • 仲間に「いいね!」と感じてもらうなにかを見つけること
  • 全員の力をひとつにまとめる「働き」を実践すること
  • 力を持続させること

2016年2月15日月曜日

非効果的リーダーシップ解決の方法:パーソナリティ・モデルの活用

CLS Japan本部 網あづさ

たとえ、リーダーシップスタイルがフォロアーのレディネスに適合していたとしても、コミュニケーションの方法によって、非効果的なリーダーシップになります。

非効果的なリーダーシップより

状況対応リーダーシップ®活用時に、コミュニケーションを補うモデルとして、個人の特性に注目するパーソナリティ・モデルが考えられます。どれも状況対応リーダーシップ®と組み合わせることを目的として考えだされたものではありませんが、お互いに補完的に活用することができます。パーソナリティ・モデルには、
  • ソーシャル・スタイル(Social Style)
  • DISC
  • NLP(Neuro Linguistic Programming)
などがあります。


ソーシャル・スタイル(Social Style)

ソーシャル・スタイルでは、「感情を表現する程度」と「考えを表現する程度」の2つの軸をとり、次図のように行動的、感覚的、協調的、思考的という4つの表現タイプを示しています。

ソーシャルスタイル

たとえば、行動的タイプ(Driver)のフォロアーは多くの場合、積極的にものごとに対処しようとしますが、安全だと感じるまで感情を表に出さない傾向があると言われます。このタイプのフォロアーに働きかける場合、リーダーははっきりと確信を持って伝える必要があります。

感覚的タイプ(Expressive)のフォロアーは、自分の主張や感情に対してオープンで歯に衣着せぬタイプだと言われます。リーダーがこのタイプのフォロアーに働きかけるときは、直感的に伝えることが有効です。

協調的タイプ(Amiable)のフォロアーは、友好的で親近感を感じやすく、丁寧で繊細だと言われます。リーダーが、このタイプのフォロアーに働きかけるときは、温かみをもって伝える必要があります。

思考的タイプ(Analytical)のフォロアーは、合理的で打ち解けにくいと言われます。リーダーがこのタイプのフォロアーに働きかけるときは、具体的で客観的なデータを示す必要があります。

DISC
同じように4つのタイプに分けるモデルにDISCがあります。DISCも「外向的⇔内向的」と「関係指向⇔タスク指向」の2つの軸を使って、「D(主導)」、「I(感化)」、「S(安定)」、「C(慎重)」という4つのタイプを示しています。


DISC


「関係指向⇔タスク指向」は、人間関係に対して感情を表現する程度が高いか、人間関係よりもタスク中心であまり感情を表現しないかという程度を表す軸なので、ソーシャル・スタイルの「感情を表現する程度」軸と重ねることができます。また、「外向的⇔内向的」の軸は、自分の考えや主張を外向的に積極的に伝える、あるいは内向的にあまり伝えないことの程度だととらえられますので、「考えを表現する程度」と重ねることができます。

2つのモデルを重ねたものに、それぞれのタイプに必要なリーダー行動を含めたものが次図になります。

ソーシャルスタイルとDISC、必要なリーダー行動


ソーシャルスタイル・Disc


このようにフォロアーが好むコミュニケーションの方法を知ることで、フォロアーに伝えようとすることの説得力が増し、またフォロアーも受け入れやすくなります。たとえリーダーがレディネスを的確に診断し、適合するリーダーシップ・スタイルがわかったとしても、コミュニケーションがうまくいかなければ、リーダーシップの効果性は下がってしまいます。


NLP(Neuro Linguistic Programming)
パーソナリティ・モデルに、もうひとつNLPと呼ばれるフォロアーのパーソナリティを知る方法があります。

どの人にも心理的・感覚的に好む表現方法があると言われていますが、状況対応リーダーシップ®と補完的に使える4つの感覚タイプは次の通りです。フォロアーに理解してもらい、リーダーのメッセージを受け入れてもらうには、フォロアーの好みを知ることが役立ちます。

NLPを活用した4つのタイプ
  • 視覚タイプ(Visuals):視ることで理解し受け入れる。
  • 聴覚タイプ(Auditory):聴くことで理解し受け入れる。
  • 体感タイプ(Kinesthetics):触れることで理解し受け入れる。
  • デジタルタイプ(Digitals):数字や事実など客観的データを知ることで理解し受け入れる。

注記:



2016年2月10日水曜日

非効果的なリーダーシップ

CLS Japan本部 網あづさ

スタイルがレディネスに適合していても非効果的なリーダーシップになってしまうことがあります。
  • 効果的なリーダーシップの場合は促進的言動(行動と言葉)
  • 非効果的なリーダーシップの場合は障害的言動
リーダーシップの効果性には、リーダーの行動だけではなく、フォロアーやメンバーたちの行動も大きな影響を与えます。もう一度、リーダーシップ機能を思い出してください。リーダーシップは、ある人がある人に「こうしてもらいたい」と思って、「意図した行動」をとることであり、なんらかの目標を達成しようとする働きかけです。メンバーのだれもがそういった意図する行動をとっています。どのメンバーも個人的な思惑や主張を持っており、それが促進的にも障害的にもなります。

促進的言動と障害的言動の例
  • S1で促進的言動の場合は「教示的スタイル」、障害的言動の場合は、「攻撃的スタイル
自分の優位性を主張、他人を排除する。批判的発言、怒鳴る、「こうさせているのはお前だよ」、失敗をなすりつける、責める、一方的で攻撃的。
  • S2で促進的行動の場合は「説得的スタイル」、障害的言動の場合は「操作的スタイル
自分に都合のいい解釈、他人の意見を聞かない。他人のあら探し、ケチをつける、詰問する、追い詰める、罠に引っかかるのを待ち構えて捕まえる。
  • S3で促進的行動の場合は「参加的スタイル」、障害的言動の場合は「依存的スタイル
同情を買おうとするが、改善努力はしない。うわべは前向きな関心を示しながら、否定的意見を述べる、誇張されたハンディを使って「本当はやりたいんだができない」と弁解する。
  • S4で促進的行動の場合は「委任的スタイル」、障害的言動の場合は「回避的スタイル
チーム活動を心理的にも物理的にも避ける。忙しく振る舞う、追い出されるように芝居をする。
以上の障害的言動は、チーム活動に悪影響を及ぼします。フォロアーの成長や効果性を前提とする促進的言動ではなく、自分の利益を優先させ、自分を守るためにリーダーシップをとる場合、スタイルが適合していても(指示的行動や協労的行動の組み合わせが適合していても)、リーダー行動は障害的になります。

レディネスが低いチームで、メンバーが自分の優位性を主張し、他メンバーを排除するような「攻撃的」な行動をとったとします。その場合、もともとチームレディネスが低いチームはいっそうバラバラになるか、バラバラなままでチーム活動は阻害されます。

「いらすとや 高圧的」の画像検索結果

同じように、チームレディネスが低いチームで、メンバーが自分に都合のいい解釈、他人の意見を聞かない、他人のあら探し、ケチをつける、詰問する、追い詰める、罠に引っかかるのを待ち構えて捕まえる、などのような自分にとって有利な状況を作るために「操作的」行動をとったとします。この場合も同様に、メンバー間の葛藤や対立は悪化するばかりで、チーム活動は阻害されます。

メンバーの障害的言動は、チームレディネスが高くても起こりえます。たとえば、あるメンバーが、同情を買おうと、うわべは前向きな関心を示しながら、「本当はやりたいんだができない」と弁解し、できない理由や否定的意見を述べたてるとします。このように、自分は貢献せず他メンバーの活動に「依存的」な行動をとるメンバーがいたら、他メンバーのやる気もそがれチーム活動は阻害されます。

また、やたら忙しく振る舞う、チーム活動から距離を置くよう芝居をする、というような「回避的」言動も、他メンバーの士気に悪影響を及ぼし、チーム活動を阻害します。

参考文献

2015年10月3日土曜日

【S.L.セルフ®】環境はコンテンツ・リーダーシップになりますか?

CLS Japan本部 網あづさ

昨日の勉強会で、「環境はコンテンツ・リーダーシップになりますか?」という質問がありました。

コンテンツ・リーダー(コンテンツ・リーダーシップ)は、

  • 能力を高めてくれる指示的行動、または
  • 意欲を高めてくれる協労的行動

の両方、あるいはどちらかを与えてくれるモノ、コト、ヒト、etc.

バングラディシュで半年間インターンを経験した大学生が、今年外資系の経営コンサルタント会社から内定を受けました。彼曰く、

「おそらくバングラデシュという環境自体が経営コンサルタントになるというゴールに対しての大きなコンテンツリーダーだったと思います。」

バングラディッシュという環境に、どのようなモノ、コト、ヒトがあり、どのような影響を与えたのか。
考えられるのは、たとえば、貧困を目の当たりにしたこと、グラミン銀行のユヌス氏と会ったこと・・・
当事者なら、自分にとって印象的だったこと、インパクトがあったこと、思いつくたくさんのモノ、コト、ヒトがあると思います。

それによって、新しいアイディアや考え、新しい関心、動機、意欲、新しい行動が生まれたとしたら、そこに新しい方向づけや動機づけがあったことになります。方向づけや動機づけを与えてくれるのはリーダーシップです。

あそこに行こう、こんなことをしたいというように、コンテンツに関わることなら、コンテンツ・リーダーシップです。

===
S.L.セルフ®とは

S.L.セルフ®は、自分の生活、成長、人生というプロジェクトを、状況対応リーダーシップ®(S.L.)でマネジメントするという考え方です。

  • プロジェクトを進めるプロセス・リーダーは自分、
  • 指導や支援を得られる元がコンテンツ・リーダー


出所:「行動科学入門」生産性出版, p.95


コンテンツ・リーダーは、ヒトだけではなく、知識を与えてくれる情報、経験やスキルを与えてくれるモノやコト、自信や意欲を高めてくれる家族や友人・知人、癒やしてくれる動物や植物、その他なんでも、つまり、レディネス(能力・意欲・自信)を高める働きをするものすべてです。





2014年10月19日日曜日

看護師のレディネス診断について

CLS Japan本部 網あづさ

ある病院の方から、看護師のレディネス診断についてお問い合わせがありました。

レディネス診断をやりやすくするためのコツ?として、以下の「タスク(課題)のとらえ方」をお伝えしました。

  • タスクは、リーダーとフォロアーですり合わせをしておくとレディネス診断がより正確になる。
  • タスクは測定しやすいように行動で表現する(行動指標)。動詞で表現すると具体的になりやすい。
  • タスクは、細分化するとレディネス診断しやすい。
  • レディネスは、リーダーの視点とフォロアーの視点の両方からとらえる。


もともとタスクは以下の大項目がありました。

  • フィジカルアセスメント
  • 呼吸器の解剖と整理
  • 検査
  • 代表疾患のフィジカルアセスメント
  • 呼吸リハビリテーション患者教育
  • 心理面への援助、倫理的問題

タスクを細分化させ、動詞で表現していただくことで、以下のようなタスクの表現になりました(一部のみ掲載)。

フィジカルアセスメント スクリーニング
 □ 基本情報のインタビューをする
 □ 一般状態の観察をする
システムレビュー
 □ 系統的インタビューをする
フィジカルイグザミネーション
 □ 視診で観察する
 □ 触診で観察する
 □ 打診で観察する
 □ 触診で観察する
評価
 □ 情報を統合して健康問題を抽出する
呼吸器の解剖と整理 □ 体表解剖(肺の位置)がわかる
 □ 肺区域がわかる
 □ 呼吸器の仕組みと働きがわかる
 □ ガスの交換と運搬がわかる



このようにタスクを行動で示すと(行動指標)、レディネスの「能力が高い・低い(知識、経験、スキルが多い、少ない)」や「意欲が高い・低い(自信、関心、動機が高い、低い)」の測定が容易になります。

リーダーシップは、リーダーの行動をフォロアーがどうとらえているかを知ることで効果的になるので、本来は、リーダーもフォロアーも「フォロアーのレディネス診断」をし、お互いにフィードバックすることがいいのですが、質問者からは、「リーダーによるレディネス診断だけでは不足か」というご質問がありました。

「リーダーによるレディネス診断だけ」でも、無駄ではありません。情報は多いほど判断材料が増えるので、レディネス診断をまったくしないよりは、「リーダーだけがレディネス診断すること」も有意義だと思います。

レディネス診断を知っていただくことで、看護師のリーダーたちには、「ひとつひとつのタスク」、「フォロアーがどう見ているか」がリーダーシップには大事なんだと知っていただくいい機会になればと思います。

2013年2月19日火曜日

レディネス診断は評価ではない

CLS Japan本部 網あづさ

「同じようなインプットに対しては、同じようなアウトプットが出るという一貫性」は安心感や納得感をもたらすと思います。日々雑多なことに追われ、社会が複雑になればなるほど、人間関係を雑に扱うようになり、そういった安心感や納得感に配慮する余裕がなくなるような気がします。

信頼関係は、相手が「期待していること」を「期待されているように対応すること」でお互いに納得・安心し、落胆や失望がない状態で養われると思いますが、そう考えるとき、いつも思います。なぜ、状況対応リーダーシップ®はいいのか。複雑に感じる人間関係や信頼関係をシンプルにしてくれ、うまく行動できるようにモデルそのものが教えてくれるからだと思います。

状況対応リーダーシップ®では、インプットを仕事に対する能力・意欲(レディネス)、アウトプットを能力・意欲を高めるための「リーダーシップ」ととらえ、下記のように、有効なリーダーシップはレディネスによって変わるとされます。

ある仕事に対して・・・
  • レディネス(能力・意欲)が低い場合、ひとつひとつ説明や指示を行う教示的なスタイルが有効
  • レディネスが中程度の場合、指示だけではなく支援も増やす説得的、あるいは参加的なスタイルが有効
  • レディネスが高い場合、指示も支援も減らす委任的なスタイルが有効


相手のレディネスにあわないリーダーシップ・スタイルをとることは、相手が「期待している働きかけ」を、自分が行なっていないことを意味します。相手は「期待しているように働きかけてくれない」と感じ、落胆や失望を感じます。このまま同じスタイルをとり続けると、何も成果が生まれないだけではなく、信頼関係が損なわれていきます。

状況対応リーダーシップ®は発表されてから40年以上、世界の仕事の場で使われてきました。多くの場合、部下に対する上司のリーダーシップという枠組みで使われてきましたが、部下のレディネスにあわないリーダーシップをとることは、部下を成長させないだけではなく、お互いに避けたくなるような人間関係に陥らせてしまうということがわかっています。

よく誤解されるのですが、レディネスは「評価」のために行うのではありません。成長目標を考えたり、成長までの経過報告のために「診断」するものです。「できる、できない」という「評価」を下しレッテルを貼ってしまうことは、部下のレディネス向上の可能性も、上司のリーダーシップ発揮の可能性も閉じてしまうことになります。

レディネスは、今どの程度の成長過程にあって、どのようにすれば成長するのかを考えるための指標です。そして、状況対応リーダーシップ®におけるリーダーシップは、リーダーの一方的なリーダーシップではなく、部下のレディネスに連動するリーダーシップであり、部下と上司で同じ指標を共有し、お互いに成長や成果について方策を練るための方法です。

「相手が期待していること」をレディネスの行動指標を使って具体的にとらえること、そしてレディネスに適合するリーダーシップ・スタイルを使って「期待されているように対応すること」、これが状況対応リーダーシップ®の2本柱だと考えています。

人々が活き活きと能力を発揮し、チームや組織や社会が活力を持つためには、「評価」ではなくレディネスを診断し、適合するリーダーシップを使って成長の機会をつくりだすことだと思います。お互いに可能性を見出し、期待し期待され、一貫性のあるコミュニケーションを継続することで、納得・安心する信頼関係がもたらされる、そんな人間関係のなかにいたいと思います。

*状況対応リーダーシップ®およびS.L.理論®は、株式会社AMIが管理する登録商標です。

2012年11月7日水曜日

テイキングチャージ! 指示待ちじゃない、自ら「責任を負う」

CLS Japan本部 網あづさ

「テイク・チャージ(take charge)」を英和辞書で調べると、「責任を負う」と出てきます。

状況対応リーダーシップ®には「テイキング・チャージ」という考え方があり、「担当者が責任をもって仕事に取り組む」状態を指しています。

「状況対応リーダーシップ®はリーダーシップだから上司だけのものだろう」と思われるかもしれませんが、テイキングチャージは上司だけではなく、仕事を実際に行う担当者自身(多くの場合、部下やチームメンバー)のためのリーダーシップです。

この考えは、S.L.セルフに似ていて、自分が必要とするリソースは何かを考える方法です。リーダーが、あるいは上司が必要とする・・・ではなく、実際に仕事をしている「自分」が何を必要とするか、そして必要とするものを、誰から、どこから得るか。S.L.セルフは「自分の成長のため」、テイキングチャージは、「自分の仕事を進めるため」の方法だといえます。

誰かやどこかに働きかけて必要とするものを得る、これはまさに状況対応リーダーシップ®で定義するリーダーシップです。

状況対応リーダーシップ®では、「働きかける人」は誰でもリーダーですから、仕事をするために仲間や上司、取引先、お客様、家族、友人から協力を得る人はみなリーダーです。自分がなにかを成し遂げるために、あらゆるヒトやモノや情報などのリソースから協力や支援を受けることがリーダーシップであり、成し遂げることがテイキングチャージということになります。




リソースの中でもヒトは、お互いに意図や心をもっていますから、積極的に長期的に深くとなると複雑になりやすくなります。

いかにヒトの問題をシンプルに整理して、わかりやすく進めるか、ここが状況対応リーダーシップ®の出番だと思います。4つのリーダーシップ・スタイル、4つの課題レディネス、そして7つのパワー基盤。状況対応リーダーシップ®は知っているだけでは無用の長物。日常的に練習して、使えるようになって初めて役立つツールとなります。

せっかく課題レディネスに適合するリーダーシップ・スタイルを選んでも、実際のリーダー行動で間違ったパワーを使ったり、間違ったコミュニケーションで伝えてしまったりして、かえって問題を大きくすることもあります。

リーダーシップですから、他人相手に練習するのが一番です。でも、自信がなかったら、自分相手に練習するのもありです。テイキングチャージは、自分の仕事を進めるための状況対応リーダーシップ®です。自分に使ってみて自分の仕事がうまく進むようになったら成功です。

もし自分が上司なら、テイキングチャージできる部下はとても頼り甲斐があると思います。
もし自分がチームリーダーなら、テイキングチャージできるチームは自律的に成長できるので、リーダーは本来の仕事に集中できます。


2012年9月5日水曜日

状況対応リーダーシップ®(S.L.理論®)による「S.L. セルフ」のすすめ

CLS Japan本部 網あづさ

気持ちいい状態、納得している状態とは?
いろいろ口実を言わないでいい状態とは?

自分が安心でき落ち着く状態はどんな状態でしょうか。
「こうなりたい」と思う状態に、自分を持っていくプロセスを、状況対応リーダーシップ®を使って考えました。

自分に対する状況対応リーダーシップ®。
「こうなりたい」、「こうしたい」をタスクととらえ、現在の自分のレディネスを診断。
こうなっている、こうしている自分のレディネスをR4として、必要なリーダーシップ(指示的行動や協労的行動)はなにか? だれから獲得するのか?


「行動科学入門」(生産性出版)第3章より抜粋


本当の意味でやる気がでるときとは、どんなときだろうか?楽しいことをやるとき、気持ちいいことをやるとき、「やりたいと思ったこと」をやるとき、やる気は出てくる。自分で「やりたいと思ったこと」をやるときは、どんなに小さなことでも、充実感があり、満足感を得られる。満足とは、欲求が満たされたときに感じる気持ちである。自分を満足させるには、なにかを達成するたびに「達成した」と充実した感情を感じることが大事である。そのためには、どんなに小さなことでも自分の「個人目標」をひとつひとつ意識することが役立つ。ひとつひとつの個人目標を意識していると、それぞれを達成するたびに満足感や充実感が得られる。このような“自己満足”の積み重ねは、同時に、「達成した」自分に対する評価を高めてくれる。
ところで、「やりたいと思ったこと」という表現は誤解をうけるかもしれない。これは、リーダーシップ研究の枠組みでいえば、ビジョンにあたる部分であり、行動科学ではあまり内容に踏み込んで説明されない部分である。先に説明した VTR モデルでいえば、「ビジョン、使命、方向性アイディア」などの「どこをめざすのか」にあたる部分である。状況対応リーダーシップ・モデルでは、「やりたいと思ったこと」がどのようなものであるべきかを示す説明として、「要求ではなく必要性」という表現を使っている。いいかえれば、見境なく好きなことだけ、やりたいけことだけをめざすのではなく、自分に必要なこと、課せられたことは何かを見極めてめざすということを意味している。たとえば、食事をするとき、好きだからといって気の向くままに甘いものだけ、脂分の多いものだけ食べるというのではなく、自分の身体にいいもの、必要なものを見極めて食べる必要があるということである。 S.L. セルフで、「やりたいと思ったこと」という場合は、自分が成長したり、満足感や充実感を感じるのに必要なこと、そのために自分に課せられたことなどを意味しており、いいかえれば「自分の“ために ” やるべきこと」であると理解していただきたい。
さて、序章で「組織目標のとらえ方」について考えた。同じ「組織に所属する」という行動でも、「組織目標のとらえ方」ひとつで、自分の満足感は変わる。自分の個人目標を意識して、自分がなぜその組織に所属したのか、組織目標は個人目標に対してどのようにかかわっているのか、などを整理してみると、自分が何に満足していて、何に不満を感じているのかが見えてくる。何が不満の原因かわからずに漫然と不満を感じていると、不満の感情が増幅してしまう。何が不満で何が満足なのか、その原因は何なのかなどがわかってしまうと、次には行動するしかないので、その結果、軌道修正して所属する組織を変えるという行動に出るかもしれないし、今の組織こそ今の自分には最良の選択だと判断し、その組織への所属を継続するという行動に出るかもしれない。どちらの行動をとったとしても、自分なりの意思決定なので納得するという意味で、自分の満足感は変わる。
行動科学で考えると、このように不満や満足の対応策を状況や他人に求めるのではなく、自分の行動に求めることで、満足感の制御(コントロール)をすることができる。「刺激←→人間(欲求)→行動→成果」で考えると、まず、「満足する」という成果を得たいので、そこから逆に見ていく。すると、自分の欲求、つまり個人目標は変えられないので、状況や他人という刺激を自分で選ぶことになる。
図表 1 : S.L. セルフのリーダーシップ図

やる気を出すには、あるいはやる気を出させるには、個人目標が何であるかを意識すること、あるいは、意識させることが役に立つ。個人目標を意識して、それを最大限に活かすために、組織目標を有効に活用するのである。個人目標を意識していれば、「自分」という軸を持ちながら、組織目標にかかわることができる。個人目標を意識するための方法が S.L. セルフである。
S.L. セルフの基本的な考え方は、 2 つの点を除いて状況対応リーダーシップと同じである。異なる 2 つの点とは、①リーダーの役割をプロセス・リーダーとコンテンツ・リーダーの 2 つの役割に分解すること、②プロセス・リーダーとフォロアーは同一人物であること(コンテンツ・リーダーは多くの場合、外部の者だが自分自身ということもある)、である。
図表 2 :リーダーの役割
たとえば、カレーライスを作るという作業で考えてみよう。まず、小学生の A 子ちゃんが初めて「両親のためにカレーライスを作ろう」と決めたとする。今までお母さんが作るのを見てきて、作ってみたいなぁと感じていたし、両親を喜ばせたいとも感じていたとしよう。これが A 子ちゃんの欲求から生まれた個人目標であり、リーダーは A 子ちゃんである。リーダーにはカレーライスを作る作業全般の管理をするプロセス・リーダーと、カレーライスの材料の集め方、買い方、作り方、コツ、味や盛り付けの好みに詳しいコンテンツ・リーダーが必要である。プロセス・リーダーは A 子ちゃんであり、そのプロセス・リーダーの指示を受けて行動するのも A 子ちゃんである。 A 子ちゃんは自分で「カレーライスを作る」と決めて、自分で実行するのである。ただし、 A 子ちゃんはカレーライスを作るのは初めてなので、なにからなにまで教わらなければできない。レディネス 1 ( R1 )である。そこで、コンテンツ・リーダーからの指導・支援が必要になる。 A 子ちゃんは、カレーライスの材料の集め方、買い方、作り方、コツなどをお母さんから教わろうと考えるであろう。味や盛り付けの好みに関しては、お父さんがうるさいのでお父さんに聞くかもしれない。お母さんからもお父さんからも、こと細かく教えてくれる教示的スタイル( S1 )が必要である。お母さんの教え方が早すぎたり、十分でなかったりすると( S2 以上のスタイルで不適合)、よくわからなくなったり、失敗したりしていやになってくるかもしれない。そういう場合は、お父さんがおいしそうに食べている姿を想像して、「がんばるぞ」と自分に協労的行動を与えるかもしれない。あるいは、お父さんに味や盛り付けの好みを聞きにいったときに、テレビに夢中になっていたお父さんに邪険に扱われて、くじけることもあるかもしれない。そんなとき、お母さんが「一緒に作りましょう」といって力強い指示的行動や協労的行動を出してくれ、また自分を奮い立たせることができるかもしれない。こんな風にして紆余曲折を経て、なんとかカレーライスができ、両親と一緒に食べることができたとしよう。 A 子ちゃんにとって、この経験はいろいろつらいこともあったけど満足のいくものだし、なにより達成できたことがうれしい。そうなれば、自分への評価も高まるし、次のチャレンジにも向かいやすくなる。
A 子ちゃんの S.L. セルフは、次表にようになるだろう。
図表 3 : A 子ちゃんの S.L. セルフ
S.L. セルフの考え方は、プロジェクト・チームの考え方に似ている。ある目的のために集められた部門横断的なプロジェクト・チームを思い浮かべていただきたい。各部門からそれぞれ専門知識や専門スキルをもった人材が集められ、それらの専門性を駆使して特定の目的が達成される。達成までのプロセスでは、完成全体図を描いているプロジェクト・マネジャーが責任を持って管理をする。必要なときに必要な専門知識や専門スキルをもった人材を動かし、プロジェクトを完成に向けて進むよう采配を振るう。特定の専門知識や専門スキルを必要とする作業については、その専門知識やスキルを持った人材が、コンテンツをどのように進めるべきかの方向性やアイディアをもっており、必要に応じてプロジェクト・マネジャーに進言する。専門知識やスキルをもたないプロジェクト・マネジャーは、専門家に確認しながら最終決定を行う。こうして、ひとつひとつの専門作業のコンテンツを埋めていきながら、全体のプロジェクトが完成していく。この場合、プロジェクト・マネジャーは全体のプロセス・リーダーであり、専門知識や専門スキルでプロジェクト・マネジャーに不足するコンテンツを補う専門家たちは、コンテンツ・リーダーとなる。
図表 4 :プロジェクト・チームの例
S.L. セルフは、自分の個人目標の達成をめざしたプロジェクトだと考えられる。 S.L. セルフでは、プロセス・リーダーは自分自身、コンテンツ・リーダーは自分を指導・支援してくれるサポートである。コンテンツ・リーダーは、状況対応リーダーシップでいうところの指示的行動と協労的行動を提供してくれるリーダーたちである。先輩、親、友人、先生、上司、同僚、仲間、部下など、自分にコンテンツの補強をしてくれる人々である。リーダーが人間に限られていないことも状況対応リーダーシップと同じである。マニュアル本、インターネット、書籍、などの指示書も立派な指示的行動を与えてくれるし、もし花や音楽や絵画で癒されたり元気づけられたりするならば、それらは協労的行動を提供してくれていると考えられる。 S.L. セルフのプロセス・リーダーは自分自身である。個人目標を掲げることから S.L. セルフは始まる。目標には、数年後こうなりたいという中長期目標や数ヶ月の間にこうなりたいという短期目標や、明日こうなりたいという超短期目標などがあり、究極的には自分の人生で何をしたいかも目標になりうる。
S.L. セルフは、「なりたい自分を創る」ための「行動のきっかけ」として活用することができる。たとえば、何年何月頃にこうなりたい、こうありたいという自分があったら、まず、その自分を目標にして、現在の自分のレディネスを診断するのである。現在の自分のレディネスを診断したら、目標に到達するまでの不足している能力や意欲がわかるので、必要なコンテンツの補強、つまり能力向上や意欲高揚のために必要なコンテンツ・リーダーはだれで、あるいは何で、そのコンテンツ・リーダーからなにを得られるのかを考える。もし、コンテンツ・リーダーがだれ(何)で、そのコンテンツ・リーダーからどのような指示的行動や協労的行動を受けようとしているのかがわかれば、指示待ちや受身の態勢ではなく、必要なものを必要なだけ依頼するという自律的な対応ができる。
図表 5 :プロセス・リーダーとコンテンツ・リーダー

2012年1月2日月曜日

ゴッホがリーダーかどうか

CLS Japan本部 網あづさ

あるグループでこのような投げかけがありました。

わたしは博士論文で「事を起こす人」は「社会的資産」であるという趣旨のことを書きました。事を起こす人は、(自分にも)他人にも影響を与えるということで、社会活動に価値をもたらすととらえたからです。

この場合の「影響」は、そのまま「行動」への影響もあるし、深く「心」に響く影響もあると考えました。たとえば組織活動のプラットフォームとして、よくいわれる投資家、経営者、管理者、メンバーは、もちろん、顧客やファンも含まれているとしました。しかし、理論的には、「顧客やファンを含む」というところで、「新しい視点だし、現代理論へのチャレンジだ」と言われ、少々びびりました。

直接的・具体的なリーダー行動をうけていないのに、ひそかに「心」で影響をうけた顧客やファンが、その組織に愛着を感じ、自分自身は購入しなくても、「こんなおもしろい組織があるよ」と誰かに伝えたり、どこかに書いたりしたら、十分にリーダーシップを受けたフォロワーだと思ったのです。その結果、その組織のファンはもっと増え、ファン層があつくなればなるほど、購入客も増えやすいと。。。

ゴッホが、どういう意図や目標で作品を創ったかわからないですが、自分一人だけで楽しむために創ったのでなければ、なにか他人への目標があったと思います。たとえば、「ゴッホの世界」を感じてもらいたい。。。これも目標になると思います。

通常のリーダーシップ論においても、「ゴッホの世界」を感じた人がいれば、目標達成、リーダーシップ発揮となります。その上で、「ゴッホの世界」を感じた人たちが、ゴッホの良さを他人に伝えたり、もっとゴッホのことを知ろうとしたり、こういった活動が増えれば、「ゴッホの世界」は大きくなると思います。死んでからもリーダーシップを発揮している(影響を与えている)ことになります。



これは今のソーシャル・リーダーシップに強くつながる考え方だと思います。昔のように、意図したことがそのままフォロワーの行動に伝わることの方が少なく、種をまく程度のリーダーシップで、後はフォロワーが渦を作っていくような。

2011年9月7日水曜日

「目標による管理(MBO)」と状況対応リーダーシップ®(S.L.理論®)

CLS Japan本部 網あづさ

「目標による管理(MBO)」と状況対応リーダーシップ®(S.L.理論®)

「キャリア開発24の扉」(小野田博之編著)では、「キャリア開発を支える人間理解力」のひとつとして、状況対応リーダーシップ®(S.L.理論®)があげられています(p.24)。

状況対応リーダーシップ®もMBO同様、米国で生まれたモデルです。MBO同様、日本独特の誤解も生じます。

よく聞かれるものに、「日本人は米国人と違って温情的なので、リーダーシップ・スタイルは常に協労的行動が多い」というものです。つまり、相手のレディネスが低かろうが高かろうが、協労的行動は常に「高」だ」という指摘や、「レディネスが低い人、高い人」という表現です。

どちらも、レディネスは「人ではなく課題で測定する」という解説と演習を行うことで、ほとんどの方に理解していただけます。そして、ほとんどの場合、「目からウロコ」だと言われます。

相手に自立してもらうには、あるいは自分が自立するにも、この「課題の捉え方」はとても有効だと思います。まず第一に感情的にならないですみます。相手に対して怒りも落胆も感じる必要はないですし、自分に対しても落ち込んだり悩んだりせず、次の第一歩を踏み出せます。

状況対応リーダーシップ®は、行動科学をもとに十分に整理された人間行動論だと思います。この整理された考えによって、沈んだり淀んだりする感情や思考に希望の光が差し込まれると感じます。

一生は長いですから、明るい人間行動を積み重ねて、長い仕事人生、長い個人生活を楽しいものにしていかれればと思います。「キャリア開発24の扉」にも書かれていますが、人生を楽しんでいる人は、創造的にもなりますし、生産的にもなります。まさに、社会に貢献できる人材になります。


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「『目標による管理』と『キャリア開発』を結ぶ24の扉」より抜粋(pp.52-.53)

ブームで終わった人事上のテーマに「目標による管理(MBO)」があります。

MBOの考え方を簡単にいうと、「やらされる仕事よりも、やりたい仕事をしている方が働き手の生産性は高く、創造性も発揮されやすい。だから、本人が自分で目標を設定して主体的に取り組めるようにマネジメントすることがよい」というものです。

失敗したのはMBOなのではなく、「目標を使った評価制度」、つまり「似非(えせ)MBO」だったのです。

MBOを導入して「職場がギスギスした感じになった」「すぐに結果がデルものに目が向いて、長いスパンで仕事を考えなくなった」という状況を招いたのもキャリア開発に結びついていないからです。

キャリア開発と連動していれば、つまり目標が自分のキャリア=仕事人生にとって中長期的にプラスになると思えば目先の評価に左右されない強いコミットメントを持ってその実現に取り組めます。

「MBOは個々の職務について仕事の領域がはっきりしている米国型の組織で生まれたもので、阿吽の呼吸で職務範囲を決める日本型組織に向かない」という理由を上げる人もいます。

しかし、むしろ大切なのは職務記述書が整っているといった環境条件ではなく、その組織のメンバーの成熟度ではないでしょうか。基準書がなくても自分が何をすべきかをメンバーがわかっていれば自分の職務範囲を特定できます。

そもそも阿吽の呼吸で進めていけるのは、その個人が自立できているからです。未熟な指示待ち、あるいは他者模倣しかできないメンバーは自分の思い込んだ範囲にとどまろうとするので、日本型組織の特徴さえ発揮できないのです。

参考文献:「キャリア開発24の扉」小野田博之編著、横山哲夫監修、生産性出版、2011年

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状況対応リーダーシップと目標による管理(MBO) 
<リーダーシップスタイル契約>

<目標による管理>では、リーダーと部下の間が、仕事目標と達成結果の評価方法について合意に達したのち、リーダー行動は一般にS4(低協労/低指示)スタイルに移ることになっている。
だが、状況対応リーダーシップによれば、S4が効果的に機能するには、部下が目標を達成する意欲と能力をもちあわせていなければならない(つまり、R4)。

しかし、レディネス・レベルは仕事によって異なるからいつもこのようにうまくいくとは限らない。経験の足りない、またやる気も起こらない仕事にブツかることがある。リーダーと部下がいったん仕事の目標を決定したら、次のステップは(実際にはあまり行われていないが)、リーダーの適切なリーダーシップ・スタイルを討議・決定することである。

このようなリーダーシップ・スタイル契約(決定)が行われないと、あとで問題が生じる。たとえば、リーダーが部下を全く放っておいたとして、この低協労/低指示な委任的リーダーシップ・スタイル(S4)は果たして適切だろうか、それとも不適切だろうか。この適不適は次の診断のときまで気付かないことになってしまう。

S4スタイルは、部下がかなりのスキルをもっていて、手順もよく知っており、意欲もある場合にのみ効果的である。逆に、目標や仕事について決定した後でも、リーダーが部下のまわりを相変わらずうろうろして指示を与えているとすると、このリーダーの高指示/低協労スタイル(S1)によって、部下は能力のある分野の仕事ですら遂行できなくなってしまう。 

リーダーシップスタイル契約を活用する面談スキルアップ演習


2011年5月5日木曜日

単純スタイル、多重スタイルの解説はなぜなくなったのか?

S.L.専属トレーナー/主席研究員 桃井庸介

S.L.スタイル・プロファイルでは、以前は単純スタイルや多重スタイルについて解説をしていました。しかし、こうしたスタイルプロファイル解説はタイプ決めの危険をはらんでいました。



確かにリーダーシップ・スタイル診断結果の多くは2重スタイルが占めます。それはとりもなおさず、2重スタイルで良いというような誤解を招くことになります。そこで、S.L.コア・プログラムでは、リーダーシップ・スタイルのどの2重スタイルについても問題を明確にし、リーダー行動改善の糸口を示すようになりました。また、S.L.オンライン他人診断分析では、一般化されたスタイル・プロファイルよりも特定のレディネスに対する不適合スタイルに着目することで、より具体的なリーダー行動改善につなげられるようにしています。

とは言え、参加者にとっては、自身のスタイル・プロファイルの特徴については関心があるところで、講師からの解説を期待されるのは自然な思いとは思えます。そこで、単純スタイルや多重スタイルについては以下のような解説をしてみることもできます。
単純スタイル(1つのスタイルの数が9点以上で、他のスタイルに2点以上がない)について:このケースでは、副次スタイルはないと言えるので、単にどのレディネスに対してもそのスタイルをとるだけのスタイル・プロファイルと言えます。S1が基本スタイルであれば、とにかく高指示的行動だけをとり続けるスタイルだと言えます。あるいは、それが一番良いと思っている。

このスタイル・プロファイルの参加者には、S.L.参加者ワークブックの中でご自身の基本スタイルが含まれているスタイル・プロファイルを読んでいただき、近いものを見い出してもらうのが良いと思います。そうすることで、副次スタイルが浮き彫りになる可能性が高まります。

多重スタイル-1(1つのスタイルが1または0のケース)について:具体的な組み合わせでは、以下のようなものがあります。

4-4-4-0(5-4-3-0、5-3-3-1、6-4-2-0、6-3-2-1、7-2-2-1、8-2-2-0):このケースでは、スタイル・プロファイルが2つあると考えていただければ良いと思います。つまり、2つのスタイルの数を足して8以上になる組み合わせが2種類あると考えることが出来ます。この場合は該当する二つのスタイルプロファイルの解説を読んでいただき、どちらがより近いか、または両方とも当てはまるかを考えてもらえれば良いと思います。
4-4-3-1(4-4-2-2、5-4-2-1、5-3-2-2):この場合は、4-4(5-4、5-3)のスタイルプロファイルが該当しますので、該当する2つのスタイルの組み合わせがスタイルプロファイルを言えます。

3-3-3-3この場合は、柔軟性はとても高いと言えます。基本スタイル、副次スタイルもない、つまり特定のスタイル・プロファイル(あるスタイルに偏っているプロファイル)はないと言えます。4つのスタイルを柔軟に使いこなせ、スタイルに特徴はないと言ってよいと思います。それが特徴ということもできます。このケースでは適合度に焦点を当てると良いと思います。柔軟度も高く、適合度も高ければ全く問題ないと言えます。つまりレディネスに適合したリーダースタイルをとれていると言えるからです。

ただ、リーダーシップの自己診断は「自分が思うスタイル」ですから、べき論でリーダー行動を選択している場合も考えられます。そこに、S.L.オンライン他人診断の結果と合わせてご自身のリーダー行動を分析することの意味が出てきます。

仮にS.L.オンライン他人診断で自己診断の結果と異なる結果が出た時に、頭で理解していることと実際の行動が一致していないことを確認することになると思います。そうした振り返りにより、より具体的で実践的な改善行動に結びつけることを期待することができます。

以上ような対応をした上で、S.L.オンライン他人診断分析で、参加者がレディネス別のリーダー行動改善に取り組む時間をとっていただければと思います。